労働基準法に定める年次有給休暇とは of 年次有給休暇のポイント

年次有給休暇をもっと理解するためのサイト「年次有給休暇のポイント」

はじめに

 このサイト「年次有給休暇のポイント」は、特に企業の経営者もしくは担当者の方のために、年次有給休暇をもっとよく理解していただくために作成しました。

 年次有給休暇は、労働基準法で定められた休暇であり、労働者には必ず付与しなければならないものです。この年次有給休暇についてよく知ることで、近年増加している個別労働紛争(労使のトラブル)を未然に防止することができるでしょう。そして、このサイトが、その手助けになれば幸いです。

経営者の皆様へ

 ここ数年、労働者の権利意識が急速に高まっています。もちろん、このサイトでご紹介している内容についてだけではありません。さまざまな労働条件についてです。

 そして、インターネットで公開されている情報が、その権利意識の高まりに拍車をかけていることも間違いありません。事実、経営者であるあなたもこのサイトを見ているわけですから、労働者も当然同じ情報を得ることができるわけです。

 これからは、インターネットでの情報のやり取りがさらに活発になると、法律に関することについては、従業員の意識の中で、しだいに「会社のルール」が「社会のルール」になっていくと考えられます。「知らぬは社長ばかり」ということにもなりかねません。

 このように、労働者の権利意識が高まっていけば、経営者との意識のギャップが大きくなり、たとえ中小零細企業であっても、一昔前のように社長が法律であるというような行為は、会社にとって、大きなリスクとなります。
 そして、会社の事業を円滑に進め、さらに発展させていくためには、今後いかに労働者とのトラブルを防止するかがカギとなるでしょう。

労働基準法に定める年次有給休暇とは

年次有給休暇とは

 使用者は、

  1. その雇入れの日から起算して、6か月間継続勤務していること
  2. その期間の全労働日に8割以上出勤したこと

 1.と2.の両方の条件を満たした労働者に対しては、継続又は分割した10労働日の年次有給休暇を与えなければなりません。この「全労働日」とは、総暦日数から所定休日を除いた日をいいます。

 また、

  • 遅刻、早退などで一部でも出勤した日
  • 業務上傷病にかかり療養のため休業した期間
  • 育児・介護休業法に定める育児休業又は介護休業をした期間
  • 産前産後の休業期間
  • 年次有給休暇の休暇日

については、出勤した日として計算しなければなりません。

 この「全労働日」から

  • 使用者の責に帰すべき事由による休業日
  • 正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日

は除外しなければなりません。

 このようにして計算した「全労働日」の8割以上の日を出勤していた場合には、雇入れ日から6か月を経過した日に10労働日の有給休暇の権利を与えます。

 また、雇入れ日から1年6か月を経過した日にも、雇入れ日から7か月目から1年6か月までの期間を同様に計算し、8割以上の日を出勤していた場合、雇入れ日1年6か月を超えたときに今度は11労働日の有給休暇を与えます。

 同様に、以下の日数を付与することになります。

勤続年月
与えるべき年次有給休暇の日数
6か月
10労働日
1年6か月
11労働日
2年6か月
12労働日
3年6か月
14労働日
4年6か月
16労働日
5年6か月
18労働日
6年6か月以上
20労働日

 ここで、労働日といっているのは、あくまで年次有給休暇は、労働日に付与しなければならないからです。

パートタイマーなどの付与日数

 年次有給休暇は、パートタイマーやアルバイトであっても必ず与えなければなりません。ただし、労働日数が少ない労働者については、その10労働日をそのまま付与するのではなく、労働日数などに応じて比例付与すればよいことになっています。

 この比例付与の対象になるのは次の者です。

  • 週の所定労働日数が4日以下で、週所定労働時間が30時間未満の者
  • 週以外の期間によって所定労働日数が決められている場合は、その年間所定労働日数が216日以下で、週所定労働時間が30時間未満の者

 したがって、週の所定労働日数が5日以上の場合や年間所定労働日数が217日以上の場合、週所定労働時間が30時間以上の場合は、比例付与の対象とはなりません。例えば、1日3時間、週5日勤務のパートタイマーでも週5日勤務なので、比例付与の対象とはならず、通常の社員と同様の年休を付与しなければなりません。

(1)週の所定労働日数が5日以上(1年の所定労働日数が217日以上)の場合

勤続年数
与えるべき年次有給休暇の日数
6月
10労働日
1年6月
11労働日
2年6月
12労働日
3年6月
14労働日
4年6月
16労働日
5年6月
18労働日
6年6月以上
20労働日

(2)週の所定労働日数が4日(1年の所定労働日数=216~169日)の場合

勤続年数
与えるべき年次有給休暇の日数
6月
7労働日
1年6月
8労働日
2年6月
9労働日
3年6月
10労働日
4年6月
12労働日
5年6月
13労働日
6年6月以上
15労働日

(3)週の所定労働日数が3日(1年の所定労働日数=168~121日)の場合

勤続年数
与えるべき年次有給休暇の日数
6月
5労働日
1年6月
6労働日
2年6月
6労働日
3年6月
8労働日
4年6月
9労働日
5年6月
10労働日
6年6月以上
11労働日

(4)週の所定労働日数が2日(1年の所定労働日数=120~73日)の場合

勤続年数
与えるべき年次有給休暇の日数
6月
3労働日
1年6月
4労働日
2年6月
4労働日
3年6月
5労働日
4年6月
6労働日
5年6月
6労働日
6年6月以上
7労働日

(5)週の所定労働日数が1日(1年の所定労働日数=72~48日)の場合

勤続年数
与えるべき年次有給休暇の日数
6月
1労働日
1年6月
2労働日
2年6月
2労働日
3年6月
2労働日
4年6月
3労働日
5年6月
3労働日
6年6月以上
3労働日

 このように、通常の労働者に比べて勤務日数の少ないパートタイマーであっても、その週所定労働日数に応じて年休を与えなければなりません。「パートタイマーだから年休を与えなくても良い」というのは誤解です。

時季指定権と時季変更権

 労働者がいつ年次有給休暇を取得するのか、取得する年次有給休暇の日にちを指定する権利を時季指定権といいます。

 これに対して会社は、事業の正常な運営を妨げるような場合は、労働者に対して年休の日を変更させることができます。これを時季変更権といいます。
 この「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、年度末の業務繁忙期などに多数の労働者から年次有給休暇の請求が集中したために全員に休暇を与えることができないような場合に限られます。

年次有給休暇の計画的付与

 使用者は、労使協定により、年次有給休暇を与える時季に関する定めをした場合、年次有給休暇の5日を超える部分については、労働者の時季変更権の規定にかかわらず、年次有給休暇を与えることができます。
 よって、労使協定を締結した場合、年次有給休暇の5日を超える部分は、全社一斉に付与してもよいし、部課係班などグループごとに付与してもよいし、個人ごとに付与してもよいわけです。この労使協定は労働基準監督署への届出は不要です。

 この計画的付与を実施する場合は、労働者の時季指定権と会社の時季変更権ともに行使できないことになっています。もし、業務が忙しくなったからといって、計画的年休日に出勤をさせることはできません。一度決めたら変更はできないのです。計画は慎重に行なう必要があります。

 また、一斉付与を行なった結果、年次有給休暇の残日数がなくなってしまい、賃金カットを受けることになってしまった場合、会社はこの労働者に対して休業手当を支払わなくてはなりません。(昭63.3.14基発150号)

年次有給休暇の時効

 年次有給休暇の請求権の時効は、2年です。
 すなわち、入社後6か月を経過したとき(「基準日」といいます)に10労働日の年次有給休暇の請求権が発生します。そして、その年次有給休暇の請求権は基準日から2年後に時効により、消滅します。
 これにより、年次有給休暇は翌年まで繰り越すことができます。

不利益な取扱いの禁止

 年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金を減額したり、精皆勤手当や賞与の算定に際して欠勤として取り扱ったりするなどの不利益な取扱いは禁止されています。

年次有給休暇の賃金

 使用者は、年次有給休暇の期間について、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、平均賃金又は所定時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければなりません。

 また、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ないときは労働者の過半数を代表するものとの書面による労使協定により、年次有給休暇の期間について健康保険法の標準報酬月額に相当する金額を支払う旨を定めたときは、これによることになります。

 したがって、年休の際に支払うべき賃金は、

  1. 平均賃金
  2. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  3. 健康保険法の標準報酬月額に相当する額

のいずれかになります。

 ただし、原則は1.又は2.となり、そのいずれかを選択するかは、就業規則その他これに準ずるものにおいて明確に規定しなければなりません。また、その定めをしたときは、必ずその定めに従うことが必要です。
 労働者各人について、その都度使用者の恣意的(そのときの思いつきなどで)選択を認められるものではありません。(昭27.9.20基発第675号)

半日単位の付与について

 年次有給休暇の付与は1日単位が原則ですので、労働者から半日単位で請求された場合に応じる義務はありません。ただし、使用者と労働者が合意の上で半日単位で付与することは差し支えありません。(昭63.3.14基発150号)




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